VPNは日本を含む多くの国で合法とされていますが、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、トルクメニスタン、イラク、オマーンでは違法とされていて、中国やイランも認可されたVPNの利用以外は違法としています。
エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦は、制限付きでVPNを合法としている国です。
また、合法であっても事実上制限がかかっている国もあります。
この記事では、このような国々でのVPNの違法性や規制について、詳細を解説していきます。
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日本・欧米などではVPN利用は合法
日本では、VPNの利用は合法的なものとして認められています。
VPNは、インターネット通信の秘匿性を高めるための技術であり、悪意を持った第三者が通信内容をハッキングすることを防ぐためにあります。
また、企業内のイントラネットに接続するときにも、VPNを通して接続する会社も多く、VPNの利用を取り締まるどころか、積極的に活用されているのが現状です。
日本以外でも、欧米を始めとした多くの国でもVPNは合法とされていて、むしろ日本よりも積極的に利用されています。
日本ではVPNを利用する人は多くありませんが、海外では利用率が30%を超える国も多くあります。
たとえば、2023年のVPN利用率を見ると、アメリカで31%、イギリスとオーストラリアで32%となっています。
出典:https://nordvpn.com/ja/blog/nordvpn-usage-survey/
VPNの利用を制限している国一覧
ほとんどの国で合法とされているVPNですが、一部の国ではさまざまな理由により利用を制限されています。
中には、完全に違法としている国もあります。
海外の記事を参考にして、利用制限のある国を一覧にしました。
- 中国:認可VPN以外は違法
- ロシア:違法
- ベラルーシ:違法
- トルクメニスタン:違法
- 北朝鮮:違法
- イラク:違法
- イラン:認可VPN以外は違法
- オマーン:違法
- エジプト:制限付きで合法
- トルコ:制限付きで合法
- アラブ首長国連邦:制限付きで合法
- シリア:合法だが利用を規制
- ウガンダ:合法だが利用を規制
参考サイト
https://cybernews.com/what-is-vpn/are-vpns-legal/
https://tech.co/vpn/are-vpns-legal
https://vpnoverview.com/vpn-information/is-vpn-legal/
ここからは「違法・厳しく制限している国」、「制限付きで合法としている国」、「合法だが事実上制限されている国」の3グループに分けて詳細を解説していきます。
違法としている国または厳しく制限している国
違法としている、または厳しく制限している国は、中国、ロシア、ベラルーシ、トルクメニスタン、北朝鮮、イラク、イラン、オマーンです。
中国
国内の言論統制を行っている中国では、VPNの利用を厳しく制限していて、認可されていないVPNを使って違法とされると罰金刑に処せられます。
- VPNを使って、中国政府に不利になる情報を海外から入ってこないようにすること
- VPNを通じて、海外のSNSサービスなどに利用者が流れ、国の重要産業であるIT系企業の育成を阻害しないこと
しかし、個人で楽しむ範疇で使う分には黙認されているのが実態で、中国でVPNを使ったことを原因として摘発された事例はほとんどありません。
もっと詳しく:中国でのVPN利用は違法なのか?【VPNを規制している理由】
ロシア
ロシアは、国内の統制をとるため、ロシア国民が閲覧できる情報を厳格にコントロールしています。
そのため、ブラックリストに登録されているサイトやSNS等に対して、VPNを利用してアクセスすること違法とし、政府の監視網を抜けた主に国外からの情報が国内に流入してくることを阻止しています。
ベラルーシ
ベラルーシは、独裁政権に対する批判的な言動を規制していて、政府に対する組織的な抗議行動をおさえようとしています。
そのため、VPNの利用を違法として、政府の監視が届く範囲でのみインターネットを利用できるようにしています。
VPN以外にも匿名通信やダークウェブのアクセスを可能にするTorをブロックしています。
トルクメニスタン
トルクメニスタンにおけるVPN利用は違法です。
トルクメニスタンは、外国メディアをブロックするために、インターネットを厳しく検閲・制限していて、VPNの利用にも制限をかけています。
北朝鮮
北朝鮮では、VPNの利用は違法です。
北朝鮮には、そもそも一般国民がインターネットに接続する環境がなく、北朝鮮内のイントラネットだけに接続できるようになっています。
北朝鮮を訪問してVPNを使おうとすると、刑務所に入れられる可能性があるので注意しましょう。
イラク
イラクもさまざまなインターネット検閲をしていて、特定のアプリやサイトを閲覧できないようにしています。
VPNの利用すると、これらのアプリやサイトにアクセスできるようになってしまうため、その利用を違法として禁じています。
イラン
イランでは、政府の承認を得ていないVPNの利用は違法です。
オマーン
オマーン一般市民が政府によって承認されていないVPNを使うことは、違法とされています。
ですので、国民がインターネット規制を回避する目的でVPNを利用することには罰則があります。
会社等の組織の場合は、ライセンスを持っている場合に限り使用を許可されています。
制限付きで合法としている国
エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦は、VPNの利用自体は合法ですが、アクセスできないアプリやコンテンツがあるので、その国の事情をよく理解した上で利用することをおすすめします。
エジプト
エジプトでは、VPNの利用自体は合法ですが、不道徳な行為に対しては取り締まっています。
この不道徳な行為の中には、FaceTimeやSkypeなどのビデオ通話アプリを使うことが含まれているので、他の国と同じようにアプリを使ったり、サイトにアクセスしたりする際には注意を要します。
トルコ
トルコは、Facebook、Twitter、YouTube、Wikipediaなど、多数のサイト・アプリをブロックしている国です。
トルコではVPNを使用することは合法ですが、政府はVPNプロバイダーを積極的にブロックしようとしています。
アラブ首長国連邦
アラブ首長国連邦(UAE)では、犯罪のために使用されない限りはVPNを合法としています。
もし、犯罪を犯した場合に、VPNを使用していたことがわかると追加のペナルティが発生します。
UAEでは、ギャンブル、ポルノなど、閲覧禁止のコンテンツがあり、これらの情報閲覧も違法行為となってしまうので注意しましょう。
合法だが事実上制限されている国
VPNの利用自体に問題はありませんが、政府が事実上の制限を加えているのがシリアとウガンダです。
シリア
シリアでは、VPN利用自体は合法とされていますが、政府がVPNプロトコルを攻撃していて、一部のVPN接続がブロックされている状況です。
ウガンダ
ウガンダでは、2018年にソーシャルメディア税が導入されたました。
この税金を回避する目的で多くの国民がVPNの利用をはじめたため、政府がVPN接続をブロックしています。
VPNの利用は合法ですが、事実上大きな制限がある状況です。
FAQ:よくある質問
VPNの合法性、違法性に関連するよくある質問です。
トレントにVPNを使用することは違法ですか?
トレントの合法性は、ダウンロードするコンテンツによって異なります。
コンテンツに著作権があって所有者の許可がない場合は、VPNを使用有無にかかわらず、ダウンロードすると違法となります。
ただしVPNを使用すれば、トレント利用中のプライバシーを保護できます。
国外の動画サービスやWebサイトの利用でVPNを使うのは違法ですか?
VPNが合法の国であれば、VPNを使ってストリーミング視聴をすることも違法にはなりません。
ただし、ごくまれに国外からのアクセスについてサービス提供者の利用規約に抵触する場合があるので、利用規約は事前によく確認するようにしましょう。
もっと詳しく:海外から日本でしか見れないサイトを見る方法
警察はVPN利用時の通信データを追跡できますか?
VPN接続が暗号化されている場合、警察がそれを解読することは事実上不可能です。
警察はISP(インターネットサービスプロバイダ)に接続ログを要求した上で、接続先のVPNサービスに接続ログを要求することまでは可能です。
しかし、厳格なノーログポリシーを遵守しているVPNサービスであれば、そもそも警察に渡せるデータを保持していないので、それ以上追跡することは不可能です。
もっと詳しく:ログなしVPNは警察による発信者特定を難しくするのか?
まとめ
以上、VPN利用についての合法性、違法性についての解説でした。
- VPNの利用は、日本や欧米を含めてほとんどの国で合法とされている。
- VPNの利用を違法としているのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、イラクで、中国も認可されたVPN利用以外は違法としている。
- VPNの利用は合法であるものの、VPNを使って違法な行為や不道徳な行為などを禁止しているのが、エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦。
- VPNの利用は合法であるものの、事実上利用を制限しているのがシリア、ウガンダ。
- VPNを使った地域ブロック解除は、違法ではない。サービス側もどんな事情でVPNを使っているかわからない以上、規制のしようがない。